南インドに行くなら必ず訪れたい!時が止まったかつての王都ハンピ
こんにちは!
南インドには、すばらしい遺跡や自然がありながら、観光地化がまだあまり進んでいない魅力的な場所がたくさんあります。
今回は、旅行者にとってアクセスしづらいものの、秘境感が感じられる町ハンピを紹介します。
ハンピとは
ハンピ(Hampi)は、旧名をヴィジャヤナガル(「勝利の都」の意味)とする、南部カルナタカ州にある小さな町です。14~16世紀にはヒンドゥー王朝ヴィジャヤナガル王国の都が置かれていました。
ヴィジャヤナガル王国(1336~1649年)は、最盛期には南インド全域を支配しましたが、1565年にターリコータの戦いでイスラム勢力に敗れ、王都ヴィジャヤナガルを破壊されました。
それ以降、廃墟となったままのハンピの遺跡は、南国の植生と巨岩の山々の中で、他にはない独特の景観をつくり出しています。
1986年には、「ハンピの建造物群」として世界文化遺産に登録されました。
主な見どころは、目的別に見ると、遺跡系とビューポイント系に分けられます。
遺跡系では、見事な彫刻が施されたヴィッタラ寺院や秘境感が漂うアチュタラーヤ寺院、ビューポイント系では、周囲を一望できるマータンガ丘やサンセットポイントとして知られるヘーマクータの丘などがあります。
また、ハンピでは、自分で気に入った場所を見つけ、ゆっくりする過ごし方もおすすめです。
ヴィルーパークシャ寺院
ヴィルーパークシャ寺院は、高さ50mの大きなゴープラム(塔門)を持つ、ハンピの中心にあるランドマーク的な寺院です。シヴァ神の化身の1つとされるヴィルパークシャ神が祀られています。
建造年代には諸説ありますが、ヴィジャヤナガル王国がこの地に都を置く前から存在していたと言われています。ハンピの他の寺院が遺跡化しているのに対し、ここは現在でも参拝客を集めています。
基本情報
名称 |
Virupaksha Temple |
営業時間 |
6:30~12:30、14:00~20:00 |
入場料 |
無料 |
所要時間 |
約1時間(関心度などによって個人差があります) |
行き方 |
ハンピバザールから徒歩 |
備考 |
カメラ持込み料50ルピー |
*訪問時点の情報です。
実際に行ってみた
入口正面はこんな感じです。多くの人で賑わっています。
敷地内はかなり広いです。
建物内部には象がいて、チップを渡すと頭を撫でてくれます。
参拝客や観光客以外にも、僧侶や物売りなどいろんなタイプの人がいます。
塔門の精巧なレリーフは見事です。
マータンガ丘
マータンガ丘(Matanga Hill)は、ヴィルーパークシャ寺院から東に進んだ突き当たりにある丘です。ここからの眺めは絶景で、周囲を一望することができますが、サンダルで登るのは危ないので、スニーカーか、少なくともグリップが効くスポーツサンダルで登ることをおすすめします。
アチュタラーヤ寺院の北側から見た全景はこんな感じです。
登山道は大通り(西)側とアチュタラーヤ寺院(東)側にありますが、道は整備されておらず、足場も良くありません。高いところが苦手な人にとっては、頂上まで登るのは少し厳しいかもしれません。
頂上付近からは、アチュタラーヤ寺院と、どこまでも続く岩山とヤシの木が一体となった景色を見ることができます。
周囲に近代的な建造物がなく、かつて都があった頃とあまり変わらないであろう景色は、飽きずに見ていられます。
なお、マータンガ丘は、ひと気がないため1人で登るのは避け、暗くならないうちに登るのが無難です。
アチュタラーヤ寺院
アチュタラーヤ寺院(Achutharaya Temple)は、ヴィルーパークシャ寺院から約1kmほど東にあるヴィシュヌ神を祀った寺院です。16世紀に建てられたとされていますが、現在では廃墟と化し、寺院内はひっそりとしています。徒歩でしかアクセスできませんが、秘境感があり、ぜひ訪れたい遺跡の1つです。
ハンピバザールからアチュタラーヤ寺院へ向かう道の途中は階段になっています。
ナンディ像を過ぎるとすぐに道が未舗装になり、そのまま道なりに進むとアチュタラーヤ寺院が姿を現します。
寺院内はとても静かで、イスラム勢力に滅ぼされてから、そのまま時が止まったかのような雰囲気です。
寺院の北に出ると、参道だった石柱の回廊スーレバザールがあります。
スーレバザールから約1.5kmほど北へ歩くとヴィッタラ寺院に着きます。
ヴィッタラ寺院
ヴィッタラ寺院は、ヴィルーパークシャ寺院から約2.5kmほど北東にあり、ハンピで最も洗練されたヒンドゥー教寺院とされています。建築年代には諸説ありますが、ヴィジャヤナガル王国時代に建てられたもので、クリシュナ神の化身ヴィッタラを祀っています。
ここでは、建物を山車に見立てたお堂や、美しい彫刻が彫られた列柱などを見ることができます。
基本情報
名称 |
Vitthala Temple |
営業時間 |
8:30~18:00 |
入場料 |
600ルピー |
所要時間 |
約1時間(関心度などによって個人差があります) |
行き方 |
ハンピバザールなどから徒歩またはオートリクシャー |
備考 |
チケットは王宮地区の(Zanana Enclosure)と共通 |
*訪問時点の情報です。
実際に行ってみた
入口のゴープラム(塔門)はかなりダメージを受けていますが、彫刻の精緻な様子を窺うことができます。
境内には複数のお堂が建てられていて、車輪が付いた山車の形をしているものもあります。
堂内の柱の彫刻は見事で、一見の価値があります。
地元の子供たちも多く訪れていて、写真を撮って欲しいと頼まれました。
徒歩だと遠回りせずに最短距離でヴィルーパークシャ寺院やアチュタラーヤ寺院から移動できますが、片道約30分ほどかかります。オートリクシャーだと車道を通って南まわりでアクセスすることになります。
王宮地区
王宮地区は、ハンピバザールから幹線道路で約2.5kmほど南に行ったところにあるエリアで、かつてはヴィジャヤナガル王国の都の中心部でした。ここには、世俗的な建築物を中心に様々な遺跡が点在しています。
貴族の住居(Noblemen’s Quarters)は、隣にある岩の展望台から眺めることができます。
ザナーナー・エンクロージャー(Zanana Enclosure)は宮廷の女性のためのエリアで、ヒンドゥーとイスラムが融合した建築様式のロータス・マハル(Lotus Mahal)や、1つ1つ異なるドームの形を持つエレファンツ・ステイブル(Elephant’s Stable)などがあります。
ここは有料地区になっています。
ハザーララーマ寺院(Hazararama Temple)は、黒花崗岩に彫刻が施された柱がある寺院で、ヴィシュヌ神とその化身の1つラーマを祀っています。
マハーナヴァミ・ディッパ(Mahanavami Dibba)はピラミッド型のテラスで、式典や祭の時は王がここから行進などを眺めていたそうです。周辺に残っている遺構の規模はかなり大きく、当時の繁栄ぶりを感じることができます。
王妃の浴場(Queen’s Bath)は、当時宮廷の女性たちが水浴びをしていた場所で、インド・イスラム建築とヴィジャヤナガラ建築の折衷でつくられています。現在では、ちょっとした公園のようになっています。
ヘーマクータの丘
ヘーマクータの丘(Hemakuta Hill)は、ヴィルーパークシャ寺院の南に位置する丘で、サンセットポイントとして知られています。
ここからは、少し緑が混じった大地と巨岩でできた山の奥に夕日が沈む光景を見ることができます。
サンセットポイントへの行き方は、ヴィルーパークシャ寺院側(丘の北側)と大通り側(丘の南側)からアクセスする2通りの方法がありますが、距離が短いため前者の方が一般的です。
ヴィルーパークシャ寺院の南側には、岩肌を彫ってつくられた階段の道があります。
登っている途中で後ろを振り返ると、ヴィルーパークシャ寺院全体を上から見ることができます。
居心地が良すぎるのか、豪快に寝ている人もいました。
サンセットポイントは、やや開けた広場のような感じになっていて、人々が思い思いの場所で日が沈むのを待っています。
天気が良ければ、このようなサンセットを見ることができます。
その他の見どころ
このほか、トゥンガバドラー川周辺やハンピバザールの対岸エリアにも独特の景色が広がっています。
川沿いでは、ハンピの特徴の1つである巨大な岩が積み重なってできた山などを見ることができます。
一寸法師のようなスタイルのボートに乗っている地元の人たちもいます。
対岸エリアには渡し舟で行くことができます。
対岸の川沿い付近のヴィルーパプール・ガッディ(Virupapur Gaddi)には、ゲストハウス、レストラン、レンタルバイクのお店などが点在しています。
対岸エリアに特筆すべき遺跡などはほとんどありませんが、ヤシの木と田園が広がる風景は印象的です。
少し遠いですが、サナプール湖(Sanapur Lake)の辺りまで行くと、岩山の背後から朝日が昇り、田んぼがオレンジ色に染まるような朝焼けを見ることができます。
食事・宿泊情報
ハンピでは、ハンピバザールの北側からトゥンガバドラー川までのエリアに、レストランやゲストハウスが集中しているので、これらを利用するのが便利です。
ただし、これらの店舗は、ハンピの整備を進めたい政府によって営業などの規制をかけられ、利用できない場合もありますので、その際はホスペット(Hospet)という約10kmほど離れた町か、ヴィルーパプール・ガッディの宿やレストランを使うことになります。
ヴィルーパプール・ガッディ地区の店舗も裁判所から退去命令が出されたりしているので、今後利用できなくなるところが出てくるかもしれません。
食事は、インド料理だけでなく、パスタやピザを提供するレストランもあります。
王宮地区に行く際は、1kmほど南に行ったところにあるMayura Bhuvaneshwariがおすすめです。ノンベジタリアン料理やビールも提供しています。
また、ヴィルーパプール・ガッディ地区のレストランでも、ノンベジ料理とお酒を提供しているところがあります。
宿はハンピバザール周辺とヴィルーパプール・ガッディにあるのはゲストハウスだけなので、ホテルに泊まる場合は、カマーラプラ村かホスペットになります。
それぞれのエリアには、以下のような宿泊施設があります。
移動について
ハンピの見どころは、エリア別に見ると、ハンピバザール周辺、王宮地区、ヴィッタラ寺院に分けられると思います。それぞれがある程度離れているため、全てを徒歩でまわることは困難です。
そのため、徒歩を基本としつつも、行き先に応じて、自転車・バイクやオートリクシャーを使いながらまわることになります。
自転車やバイクは、ハンピバザール北側のゲストハウスやレストランが密集しているエリアでレンタルすることができます。
王宮地区へ行く際に自転車をレンタルしましたが、1日100ルピーでした。
ハンピへの行き方
ハンピを訪れるには、まずホスペット(Hospet)に向かい、そこからバスまたはオートリクシャーを利用してアクセスすることになります。
ホスペット・ハンピ間のバスはそれぞれのバススタンドから頻発していて、所要時間は約30分です。
ホスペットへは、ベンガルールから電車またはバスで約6時間~9時間、ゴアから電車またはバスで約7~10時間です。
バーダーミからも早朝にバスが出ています(所要時間約6時間)。
ハンピは、同じ南部のバーダーミやゴアと合わせてまわるのがおすすめです。
僕はベンガルール(鉄道・車中泊)→バーダーミ(1泊)→ハンピ(2泊)→移動(バス・車中泊)→ゴア(1泊)を6泊7日でまわりました。
それでは良い旅を!
※旅行を検討する際は、外務省の海外安全ホームページなどで最新の情報をご確認ください。