豪商の邸宅と絶品料理を満喫!ー南インド・チェッティナード地方
こんにちは!
南インドはヒンドゥー教寺院や遺跡などの見どころが多いですが、タミルナドゥ州南部には、他では見られない独自の景観と、多様なスパイスを使用した料理で知られる地域があります。
今回は、かつて豪商たちが豪華な邸宅を多く構えた南インドのチェッティナード地方を紹介します。
チェッティナード地方とは
チェッティナード地方は、銀行業や貿易業で財をなしたチェッティヤールという商人カーストたちが建てた邸宅が多く残る地域です。
この地域の言い伝えによると、チェッティヤールの人々は、後期チョーラ朝の時代(9~13世紀)に、宝飾品取引、船具商、塩事業など沿岸のビジネスを支配していたそうです。チェッティヤールは、13世紀には後期チョーラ朝を滅ぼしたパンディヤ朝の元に移り、カライクディの近くにある4つの村に定住したとされています。
その後、コミュニティを拡大したチェッティヤールは、19世紀半から20世紀前半にかけて、銀行業や南アジア・東南アジア諸国との貿易で重要な役割を担い、最盛期にはこの地域に96の村をつくりました。
チェッティヤールは、セイロン(スリランカ )、ビルマ(ミャンマー)、マレー連合州(マレーシア)の発展にも重要な貢献をしますが、第二次世界大戦後の各国の独立以降、彼らのビジネスは立ち行かなくなります。
現在では、多くのチェッティヤールが医師や教授、ビジネスマンなどとして他の都市や海外に移住したこともあり、現在の村の数は75に減っています。
チェッティヤールが行った貿易は、建築や食文化の面でもこの地域に影響を与え、豪華な邸宅やチェッティナード料理といった独自の文化を生み出しました。
アッタングディ・パレス
アッタングディ・パレスは、1932年に建てられた邸宅で、現在は博物館として公開されています。アッタングティは、カライクディから北西に13km離れたところにある小さな村です。
アッタングディ・パレスには、全部で50もの部屋があり、建物にイタリアの大理石、ヨーロッパや日本のタイル、ミャンマーのチーク材などが使用されるなど、大変贅沢なつくりとなっています。
基本情報
名称 |
Athangudi Palace |
営業時間 |
9:00~17:00 |
入場料 |
100ルピー |
所要時間 |
約1時間(関心度などによって個人差があります) |
行き方 |
カライクディなどからタクシーまたはオートリクシャー |
備考 |
カライクディのオールド・バススタンドからバスが出ているようですが、便数が少なく不便そうです。 |
*訪問時点の情報です。
実際に行ってみた
建物の外観はこんな感じです。
入口には東洋らしさを感じられるタイルが使用されています。
中に入ると、贅を尽くした空間が広がっています。
地元の子供たちも遠足に来ていました。
理由はよくわかりませんが、なぜか子供たちが目の前で整列して座り始めます。そして引率の先生がその様子を写真におさめ始めます。
壁には当時の様子らしき絵や天使が描かれいて、贅沢さの中にインドと西洋・東洋が混じった不思議な空間となっています。
天井や床などの細部にまで装飾が施されています。
他の部屋もとてもきれいでした。
チェッティナードゥ・マンション
チェッティナードゥ・マンションは、1902年に完成した邸宅で、現在はヘリテージ・ホテルとして利用されています。宿泊可能な部屋数は全部で12で、館内には、レストラン、史料館、プール(別館)などの施設があります。
チェッティナードゥ・マンションは、カナドゥカタンというカライクディから北に約15km離れた村の中にあります。この村には、大きな邸宅が多く残っていて、ホテルを起点に周辺の散策も楽しめます。
基本情報
名称 |
Chettinadu Mansion |
宿泊料 |
朝食付き6,000ルピー~ |
行き方 |
カライクディまたはティルチラパッリなどから車でアクセス |
備考 |
チェックイン12:00~、チェックアウト~11:00 |
*訪問時点の情報です。
中はどんな感じ?
建物の外観は白を基調としています。
中はこんな感じです。建物にはイタリアや日本のタイル、チーク材などが使用されています。
宿泊した部屋はこんな感じです。
ちょっとした史料館もあります。
奥はオーナー家族やスタッフの人たちの住居エリアになっています。
カナドゥカタンを散策
チェッティナードゥ・マンションの周囲には、立派な邸宅が多く、インドの他の町にはない独特の景観を見ることができます。
この村で特に目を引くのは、1912年築のチェッティナード・パレスです。
残念ながら、内部は非公開となっています。
碁盤目上に整理された道路を歩いていると、老朽化の進んだ邸宅が目に入ってきます。
これはこれで非常に趣があって良いのですが、いくつかの邸宅では、建物の一部が崩落しているものありました。
その一方で、きれいに整備された建物や、ホテルとして営業している邸宅もあります。
車やバイクの交通量が少なく、他の都市と異なりクラクションのストレスはありません。
村の中には、サリーなどに使われる布を織っている工房もあります。
ヒンドゥー教寺院と池もあり、とてものどかな雰囲気です。
食事・宿泊情報
チェッティナード地方は料理でも有名です。チェッティナード料理は、多彩なスパイスや数種類の米を用いてつくられる、この地方特有の料理です。
チェッティヤールが南アジア・東南アジア諸国と貿易を行う中で海外の食文化の影響を受け、それらを融合させた料理となっているそうです。
今回食事で利用したのは、「地球の歩き方」にも載っているフレンズと、チェッティナードゥ・マンションのレストランです。
フレンズは、きれいなレストランというよりもローカル感のある食堂といった感じですが、ここの料理は絶品です。
南インドで一般的なミールスに加え、壺で調理した蟹・マトン・チキンなどのカレーを堪能することができます。
メニューはこちらです。
他の地域で食べる南インド料理よりも美味しく感じましたが、外国人にとっては少し辛いかもしれません。
チェッティナードゥ・マンションのレストランでは、セットメニュー(800ルピー+税)と単品どちらも選べますが、料理に時間がかかるため、あらかじめ注文しておく必要があります。
チェッティナードゥ・チキンカレーを注文しましたが、あまり辛くなく旨味が効いていました。ビールを一緒に頼むと最高です。
朝食も美味しかったです。
その他の見どころ
この他には、カナドゥカタンの約10km北にあるティルマヤム・フォート(入場料300ルピー)、さらに北にあるスィタンナヴァサルの洞窟とエラディパッタムの岩山(入場料それぞれ300ルピー)、アッタングディのタイル工房、馬の置物が並ぶヒンドゥー教寺院などがあります。
ティルマヤム・フォート以外はあまりおすすめできませんが、時間が余るようであれば、寄ってみても良いかもしれません。
移動について
鉄道やバスは一応ありますが、この地域は見どころが点在しているため、旅行会社を通じて車をチャーターすることをおすすめします。
僕は今回、ティルチラパッリの旅行会社Cholan Tours に車の手配をお願いし、1泊2日でティルチラパッリ→チェッティナード地方(宿泊)→ティルチラパッリと移動し、料金は6,500ルピー(車種はトヨタのEtios)でした。
旅行会社は2社しか比較しませんでしたが、もう少し安いところも探せばあると思います。
チェッティナード地方への行き方
チェンナイやティルチラパッリなどから、カライクディへ1日数便急行(鉄道)が出ています。
チェッティナード地方は、タンジャヴール、クンバコーナム、ティルチラパッリ、ラーメシュワラム、マドゥライといった周辺の観光地から、概ね100km程度の場所に位置しているため、組み合わせてまわると良いと思います!
これらの都市の情報については、こちらにまとめています。
それでは良い旅を!